投資はしなくてもいいかもしれない

いまの段階では、日本の平均的な人で投資が絶対必要な人などいない。
投資とか財産を守る必要があるのは、たとえば、物凄いインフレになって、
お金の価値がゼロになってしまうとか、権力などによって没収されてしまうなら、
少しでもお金以外に価値のある物に変えておくという場合である。
例えば、中国人の資産家が保全の為に、骨董品や日本の珊瑚、土地を買っているのがそれに当たる。
そもそも、儲けようと思っているわけではないのだ。
いくらかでも、価値のある物に変えておきたいというわけ。
儲けるなら、珊瑚自体の売買をするだろう。
フローとストックの違いである。

基本的に、お金をお金で増やすことはできない。
できるとすれば、国債や預貯金などで手堅くまわすしかない。

例えば、
毎年投資で年10%複利の利益を上げたらすごいことだ。
だが、実際は、売買単位や約定数などの問題があって、複利効果を100%得ることはできない。

労働であれば、身体や頭脳、技術を資本にして、
金銭的な元手がゼロで無限大のリターンを得ることができるのである。

あなたはこれをバカバカしいことだと思うだろうか?
投資で増やそうとして、かえって大切な老後資金を失っている人がほとんどなのを考えても、
やはりそう思いますか?

これがもし、事業だったらどうであろうか。
先程の珊瑚の売買ではないが、時代と自分の能力、適性にあった事業をするのである。
事業でうまくいっていて、資産に対する利益(ROE)が10%以上ある企業は巷には結構ある。
自分の名誉欲も満たせるし、能力を最大限発揮して、お金も稼げば良いのである。
なぜリスクを取る必要があるのだろう?
しかも、事業で赤字決算のことがあっても、それは自分たちの給料を払った上なのである。
もちろん、個人保証した借金が返せないようなら大変であるが・・・

そうやって、労働でも事業でも、儲けてから、国債や定期、配当目当ての株や、不動産で
不労所得を得てもなんの差し支えもないのである。

投資をはじめるにあたっては、何の情報もないので、
それこそ、何の自覚もなく簡単にだまされる。
ビジネスには慎重になるのに、なぜ同じくらいリスクのある株式投資などでは、
いきなり最大のリスクを取ろうとするのだろうか??

自覚がないというのが一番恐ろしいことだ。
どんなに素晴らしい知性、理性、精神力があっても、
わけのわからない自信を持ってしまうと、叩き潰されてしまう。
しかも、なぜそうなるかの理由が解らないから、始末が悪い。

そういう世間的な知識、経験、能力は例外なく後天的な物なのである。
しかも、苦労して投資で大成功する人というのは、ごく稀にしかないないので、
やはり、選ばれた人だけと言えるかもしれない。

やはり、実際に投資で成功している人と直接に近い形で知り合って教えてもらうしかない。
正しい確信がなければ危険である。
ネットなどで見るほとんどの人はエセと考えてよい。

それも当たり前の話で、本当に儲けている数少ない人が、自分の身元ややり方をはした金で公開する意味はない。
それは、アメリカの投資銀行ヘッジファンドの有能な社員の給料を見れば解る。
高い給料を出さなければ、とっくに自分でやってしまうからだ。

また、そういった本物らしい人物に会ったとして、
「タダで教えてくれない」などといって、怒るのは全くのお門違いである。
理解の無い人への中途半端なアドバイスは破滅を招くし、
そもそも投資をした方が良いかさえ、誰にも解らないのだから。

また、どの程度リスクを取ったら良いのか、資金はいくらかなど、
人によって、全く異なってくるので、本当は教えるなどということは不可能ともいえる。
なんとか、そういう本物が見つかれば良いのだが・・・・。
普通はコネがない。

だから、何もしないのも非常に賢いと言える。
リーマンショックのときの投資ブームで、多くの大学や年金が巨額の損失を出した。
そういった中で、損をしなかった大学がある。
それは東大である。彼らは株式投資などという愚かな事はしないで、
国債などのリスクフリー資産で運用していたのである。
やはり、政財界にOBも多く、頭の良い連中であった。