ゼロサムゲームの意義はなんだろうか

相場の世界、特に、先物外国為替、株の信用取引などはゼロサム・ゲームだと言われています。これは、取引参加者全体の利益と損失(マイナス)を合計すると0になる事からです。

逆に、0でないとすると「その利益はどこから来るのか?」と言うことになってしまいます。誰かが補填してくれるワケでもなし、「お前、勝ちすぎたから、後で調整して払い戻せ」等といわれたらスムーズに取引できません。
勝負が解かり易く早いのが利点と言うことになります。

結局のところ、誰かの損失、或いは利益の減少から私達は利益を生み出さないとならない事を意味しています。

「お互いに、一緒に儲けましょう」と言う世界ではないとすると、どうしても利益が反対になってしまいます。

自分が買い方ならば、
1.あなたに現物株を売ってくれた人は、持っていれば得をする所を売ったので損になります。
2.株が上がれば、信用取引の売り方が損をします。
3.あなたより遅れて買いに来ようとした人に高く売りつける事になります。

しかも、相場と言うものは大体が、投機マネーで、実需の取引額は非常に少ないということです。
実際には、ドルで買い物するから買うとか、配当がもらえる、などではなく、単に「相場で儲けたいから」相場に参加してくると言う事です。
そうなってくると、結局は経済だとか云々していても、結局はバクチなどと本質的に何が違っているのだろうか?と疑問に思わざるを得ません。

投機筋は元のお金の何倍もの取引ができる仕組み(レバレッジ)の利点を生かして、物凄い額で相場を動かそうとしてきます。

ちょっと前に、原油が過去最大の値上がりをしていました。ガソリン代も高くなって経済に深刻な影響がでました。しかし、その経済が失速すると、原油の需要が小さくなったので原油価格が何事もなかったかのように、元に戻ってしまいました。
産油国は今度は減産して価格を調整しようとしている始末です。

テレビの番組で、原油を買っている人は、今後原油の需要が見込まれるので「投機」ではなくて、「投資」だと言っている人がいました。
もちろん、原油の相場だけで経済が動いている訳ではないのでしょうが、あれだけ大騒ぎして一体なんだったんだと思わざるを得ません。
バカみたいに値上がりして、人々が困っている状態まで買って、まだ買うってどうゆうことなのでしょうか。
もっと値上がりして買えなくなるから?正気の沙汰とも思えません。

行き過ぎもまた相場、ですが、人々がパニックになったと言うよりは、やはり投機筋が巨額な資金で相場を動かしたり、石油の利権のある人が、政治やニュースを利用して自分に良いようにしたに違いないと思っています。環境関連に利権がある人も、原油高に関連して色々と言えば、話が通じやすかったに違いないのです。そこで原油で一杯儲けてやろうと言う人同士で相場が作られて、それ以上投機マネーが入らないくらいに飽和状態になったとき、当然、誰ももう買ってこないので、一気に崩れて仕舞いになったわけです。

人に、「儲かりますよ」と言う話で儲ける人がいます。
本質的な価値を生み出さないのは、虚構ではないでしょうか。
その人は、生産者と消費者の間に入り込んで、利益を吸い取ってコストを増大させているかもしれません。

相場にしても同じだと思います。
もし、「儲かる方法」なんて言うのがあって、皆それを知ってしまったら、おそらく相場が成り立たなくなってしまいます。
実際に、投資手法が公開されるとパフォーマンスが落ちると言う事が知られています。
やはり、相場と言うのがゼロサムゲームだからだと思います。

人に投資方法を教えるというのは、どうゆうことなのだろうか?
人に相場を勧めると言うのは、カモにするためか、情報を共有する為だろうか?
儲かれば何でもいいのだろうか?
資産形成や、長期投資と言うのは、本当に有効なのだろうか?
どうしても投機マネーが暗躍してしまう相場と言うものは一体なんなのだろうか。公営ギャンブルの一種か、現代の錬金術なんだろうか?

割り切れないので終りにします。