バブル景気と比較してどうか。

さらなる研究が必要だが、いまの安倍景気は1980年代のバブル景気と比べて、
どのように雰囲気が違うのだろうか。

バブルと同じような雰囲気を感じておられる人も多いようだ。

私は全くの門外漢なので、見聞きした限りのことだが、
バブル以前にも、神武景気だとか、朝鮮特需だとか、幾たびも好景気が興ったが、
その後には、ほぼ必ずといってよいほど、恐慌状態になっている。

また、戦後に証券会社の規模が大きくなると、
山一、野村、日興、大和の四大証券が幅を利かせていたことがあった。
これらの証券会社の売買動向によって相場が左右されることすらあった。
ただし、このような腕力買いの効力はあくまで一時的なものである。

山一は「飛ばし」を行うなど、経営が悪化して破綻し、
残る三つの証券会社も、ネット証券の台頭や、高速の自動取引に押されている。
それよりも、地場証券が大いに参っていて、喫茶店になるところさえでた。

相場師や仕手師から、「トレーダー」などと呼ばれる時代になった。

ただ、こういった玄人や、半玄人は、時の制度などによって主役が入れ替わるが、
もう一方の勢力である、大衆投資家が大きな流れを作るのは変わらない。

その「大衆」の中には、外資系証券会社の投資信託を通じて参加してくる外人さえいる。
為替の影響も昔より大きくなったと思う。

ただし、日本株でテクニカルに短期売買をしている外国人は少ないのではないだろうか。
おそらく、一部のプロが日経平均レバレッジを生かした取引など特殊なものに限られると思う。
なので、動きとしては一応、中立としておく。
なぜなら、いくらレバレッジを掛けたとしても、売り崩し、買い煽りなどは、相場の情勢が許さなければ成功しないからだ。

そこで、いま盛んに言われているのが、アメリカの回復が経済を引っ張り、日本がその恩恵を受けるというもの。
アメリカの金利が上昇し、ドルが買われ、中国や他の発展途上国から資金を引き上げる。
問題は、中国やブラジルなどの影響がどのくらい日本にあるか、ということ。

ドルが買われれば、円安になり、日本の輸出業が潤うことになる。
ドル・円だけのペアを見ていると解りづらいが、ドルと円は連動するときもあるので、
ヨーロッパの不調が続けば、あまりヨーロッパへの輸出増は期待できない可能性もある。

過去の、ITバブルやリーマン時代の相場を見ていると、
国民全体が大きく動いたというよりは、一部の人が騒いでいたという感じがする。

ITのときはホリエもんのライブドアソフトバンク楽天などの胡散臭いIT成金が出た。
そのうち、ソフトバンクは携帯電話、楽天は小売業でまともな会社になった印象がある。

リーマンのときは、日本では主に不動産ミニバブルとして認識されていたような気がする。
元のカネがサブプライムといって、不動産関連だったのだから、投資先も似た分野になったのだろうか?

それで、大衆といっても、株取引の経験者、ネットで証券取引できる若い人などに限られたのではないだろうか。
なので、大きく伸びるということが無かったと勝手に推測する。

また、ファンダメンタルズで言えば、もう戦争もないし、経済政策の失敗もあって、ダイナミズムが失われたこともある。
そのような中、投資家にはバブルの嫌な記憶がトラウマになって残ったような気がする。
戻りがないから。戻りようがないから。

ただし、色々と言っても、今回の安倍相場は未だ金融緩慢だけの相場なのが気になる。
これから円安を利用して、日本企業が世界に出て行くようになれば、これは偉いことになる。
産業構造の変革ができるかどうかが、ポイントかもしれない。
戦後レジームの脱却は、政治ではもやは動かしがたいものになってしまったかもしれないが、
経済分野でも同等以上に取り組む価値があると思うが、どうだろうか。